じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

第154回芥川賞・直木賞発表と「人生を文房具に救われた女」

出勤しようとしたら、車に雪が積もっていて驚いた。
終日、窓の外は、雪が降ったり止んだり。
午前中は病棟業務、午後から外来。寒くなったせいか、外来の患者さんも増えてきた。これまであまり出ていなかったインフルエンザ陽性もパラパラと。

仕事を終えて、今日は一日中部屋の片付け。
第154回、芥川賞直木賞発表。
あの「又吉フィーバー」から、もう半年と言うべきか、まだ半年なのか。
芥川賞は、本谷有希子さんの「異類婚姻譚」(いるいこんいんたん)と、滝口悠生さんの「死んでいない者」の2作授賞で、直木賞は、青山文平さんの「つまをめとらば」。
本谷さんが、受賞会見で「作家にとって、芥川賞は「エサ」みたいなもの、と言っていたのだけれど、これまで何度も有力候補だと言われてきた本谷さんにとっては、ようやく、という感じなのかもしれない。
しかし、本谷さんは作風も実績も、芥川賞というよりは直木賞枠でもよさそうなものだけど。
もっとも、芥川賞の候補になる基準は、実績云々ではなくて掲載された雑誌らしい。
又吉さんがあれだけ話題になった後なので、選ぶ方にも、ちょっと「話題性のある人への色気」みたいなものも出たのではないか、などとも思う。
本谷さんは、いつ受賞してもおかしくない人ではあるのだとしても。
滝口さんは、2回目の候補での受賞。
直木賞の青山さんの作品は読んだことがないので、これを機に読んでみよう。
『戦場のコックたち』『孤狼の血』と『このミス』シフトか?と思うようなラインナップだったのだけれど、受賞作はそのラインから、というわけにはいかず。『羊と鋼の森』も良作だったのだが。
まあ、総じていえば、僕にとっては「落ち着いた芥川賞直木賞」だったと思う。

掃除を続けながら、『マツコの知らない世界』を観賞。
「文房具の世界」に出ていた「人生を文房具に救われた女」菅未里さんのこじらせっぷりが、僕はけっこう好きだった。
ああいう教室に居場所が無い、っていうようなコンプレックスって、共感してしまうんだよなあ。僕もそうだったから。本人にとっては、めんどくさい人生だったに違いないけど。
観ていてふと思ったのだが、菅さんに「これはこじらせてるわねえ〜」とツッコミを入れて、ポエムのような文章を紹介して笑いをとったあと、マツコさんって、ほぼ毎回「ごめんなさいねえ」と謝っているんだよね。
お笑いのプロというのは、「素人いじり」でも、こんなふうにいちいちツッコミを入れたことに謝ったりはしない。
テンポを考えれば、いちいち謝らないほうが正しいのかもしれないけれど、マツコさんの場合は、その「ごめんなさいねえ」のおかげで、不快感がかなり軽減されているような気がする。
マツコさんって、「自分自身もいろいろとこじらせている、本来は突っ込まれる側の人間」という意識があるのではないかなあ。
だから、変わった人にツッコミながらも、フォローせずにはいられない。
もちろん、僕が勝手にそう思っているだけ、ではあるんだけど。

片付けに一区切りつけ、埃まみれになってシャワーを浴びて、24時に就寝。
明日もまた気乗りしない業務が待っていて、気が滅入る。人生を救ってくれそうな文房具でも買うか。