じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『クリード 炎の宿敵』は、日本でいえば「平成という時代に変わったこと」を象徴しているようだった。

 長野久義選手のカープ入団会見。赤いユニフォームはどうだろうか、と思っていたのだが、よく似合っていたと思う。
 まあ、ユニフォーム姿って、こちらが好感を抱いていれば、似合って見えるものではあるけれど。
 会見の内容も、けっこうリラックスした感じではあったし、まさに好漢、という印象だった。
 石原さんが長野選手も言及するほどの酒豪だとは知らなかったなあ。長野選手が新井さんの代わりにチームを引っ張って、なんてことを言う人もいるけれど、カープには、まだ石原さんがいる。微妙なヒットを打つたびに、カープファンからは、愛をこめて「インチキ!」と囃し立てられる石原さんだけれども、チーム内では要のような存在なのだろう。黒田さん、新井さんのおかげでカープは劇的に変わったけれど、ずっとこのチームにいて、良い時代も悪い時代も知っているのは石原さんなのだし。
 
 『クリード 炎の宿敵』を映画館で観た。
 正直、WBCのヘビー級チャンピオンなんて、そんなに簡単になれるものではないし、いくらパワーがあっても、粗削りな技術のない選手にあっさりやられるようなものじゃないだろう、とは思うのだ。
 でも、主人公・クリードのドラマの「薄さ」を、ロッキーやドラゴ(親)の、この30年間の歴史の重さみたいなものがうまくカバーしていて、『ロッキー4』をリアルタイムで観た僕にとっては、たまらない作品になっていた。
 しかし、『ロッキー4』が公開された1985年の『ロッキー』は、アメリカとソ連の国と国との代理戦争としてのボクシングだったのが、今作では、きわめて個人的な動機や家族の問題がテーマになっていて、これはまさに、ベルリンの壁崩壊以降の、日本でいえば「平成という時代に変わったこと」を象徴しているようだった。
 正直、ドラゴのこの30年間のことを思うと、大変だったろうな、と思うし、ああいう試合に負けること、の恐ろしさも想像してしまう。英雄が生まれると、堕ちた偶像も出来上がるのだ。
 それだけに、ドラゴとロッキーの「その後」には、ちょっと救われた気がした。
 人と人との関係、とくに身近な人との関係を変えることは、ときに、チャンピオンベルトを獲るよりも難しい。


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ロッキー4 (字幕版)

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