じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

丸佳浩選手と中田翔選手の「FA宣言」の結末に、人の心はわからないと、あらためて思う。

 大谷翔平選手が、メジャーリーグで新人王を獲得した。
 投手として、打者として、それぞれの成績でいえば、もっと良い数字を残した選手もいたようだが「二刀流」のインパクトが評価された、ということなのだろう。
 日本では多くの人が喜んでいたのだが、こういうのって、アメリカの野球ファン、とくに、エンゼルス以外のチームのファンにとっては、「うちの選手のほうが良い成績だったのに、とか、チームが好成績だったのに」とか思われているような気がする。
 
 今日がプロ野球のFA宣言の期限ということで、いくつか動きがあった。
 熟考しているという阪神の上本選手はFAせず残留、日本ハム中田翔選手も3年契約で出来高込み10億円で残留となった。
 プロ野球で、各選手がFA宣言するかどうか、というのをみているだけでも、人の心の内はわからないし、心の問題だけではなくて、環境やタイミングで人生は変わるものだな、と考えてしまう。
日本ハム中田翔選手は、日本ハムという球団が、年俸が高くなった選手やベテランに対して、強く引き留めずにチームの新陳代謝を促す、というチームカラーもあって、ずっと「FAするに違いない」とか「阪神移籍が有力」と言われつづけていたし、僕もそういうことになるのだろうな、本人もFA移籍を望んでいるのだろうな、と思っていた。
 ところが、国内FA権を獲った昨年(2017年)は不調で成績が悪かったこともあり行使を見送り、今年も権利は持っていたにもかかわらず、結局、日本ハムに3年契約で残留を決めた。

 まだFA移籍が決まったわけではないのだけれど、カープの丸選手がこの2年間の大活躍で、いつのまにか「FAの目玉」として巨人の標的にされていることを思うと、本当に一寸先はわからないな、と思う。
 丸選手には、お金にこだわるイメージはなく、メジャーリーグや人気球団に行きたい、というような野心を感じなかったし、落ち着いた環境で自分のペースで仕事をするタイプにみえていた。最近のカープはすごく雰囲気の良いチームだし、土壇場で同点3ランを打って大歓声を浴びる丸選手をみていたら、「過去のカープならともかく、こんな環境でプレーできているのに出ていくことはないのでは。菊池選手はあの守備でメジャーリーグからも注目されていて、新しいことに挑戦したいタイプだからわからないけれど……」というのが、僕の見立てだったのだ。
 正直、ここまでの2年間、とくに今年のホームランを量産する活躍がなければ、巨人に目をつけられることもなかったのではないかと思うし、本人もカープが出せる範囲の条件で納得できたのではなかろうか。
 丸選手はチームの中心だし、いないと苦しくなるのはわかっているのだが、マネーゲームでは、カープに勝ち目はない。いっそのこと、丸選手がメジャーリーグを目指してくれれば、気分的にはラクになるのだが。
 カープファンは、出ていかれた経験が豊富すぎて、決まったときの衝撃を緩和するために、心の準備をしているようにもみえる。もちろん、僕もそうだ。それこそ、黒田選手のときのように「行かないで」のパフォーマンスをやっていれば、結果も違うかもしれないのに。
 丸が出ていけば、チームが弱体化し、連鎖的にみんな出ていくかもしれない。
 でも、丸を引き留めるために条件を引き上げれば、他の選手に出すお金がなくなる。
 まあ、カープが資金的にどんなにがんばっても、お金の勝負になれば、巨人やソフトバンクにはかなわないんだけどさ。

 人の組織への愛着なんて、そんなにアテになるものではない。
 心は変わるし、タイミングもある。
 それにしても、まさかこんなことになるとは、と、本人たちも自分の運命みたいなものに驚いているのではなかろうか。


エンスカイ 大谷翔平 2019年カレンダー

エンスカイ 大谷翔平 2019年カレンダー

エンスカイ 大谷翔平 2019年卓上カレンダー

エンスカイ 大谷翔平 2019年卓上カレンダー