じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

これまでの経緯はさておき、いまがすべて、という「アドラー的」な人はけっこう多い。

 セリーグのMVPに丸選手、パリーグは西武の山川選手が選ばれた。
 丸選手はチームへの感謝を語っていたが、自身の去就については触れず。
 条件をみると、出ていくのだろうな、と覚悟せざるをえないのだが、本人が決断(あるいは意思表明)を先延ばしにしているおかげで、少しずつ、これはまだ残留の可能性があるのではないか、という期待もしてしまっている。毎朝、ヤフーニュースを見るたびに、今日こそトドメを刺されるかも……とドキドキしているのだ。なんだかもういたたまれなくて、プロ野球そのものをこのままフリーズするかリセットしてしまいたいくらいだ。
 巨人のO竹投手が50%の減俸で契約更改。これで、FAで巨人に移籍したときの4分の1くらいの年俸になってしまったわけだ。
 今年は2軍ではかなりの成績を残していたにもかかわらず、1軍では2試合しか出番がなく、外野からは干されているようにもみえた。今年の巨人は先発投手が充実していたわけでもないし、カープ時代はリリーフでも実績がある投手なのだが。
 いまのO竹は、あの年、カープがはじめてCSに進出して、ファイナルで巨人にひとつも勝てなかった年に巨人へ移籍したことを後悔していないのだろうか。それはもう、本人にしかわからないことだけれども。あのままカープにいても、成績は変わらなかった可能性もあるし、むしろ、世代交代の弊害になっていたかもしれない。もちろん、3連覇の立役者のひとりになっていたことも考えられる。
 ただ、あらためて思うのは、30歳くらい、選手として脂が乗り切った状態でFAしたとしても、その契約年数が切れる4年、5年後には30代半ばになるし、移籍したときと同じレベルのパフォーマンスをみせられる人は少ない、ということなのだよなあ。
 だからこそ、長期契約がありがたいと思う人も多いのだろうけど、その高額年俸がプレッシャーになったり、周囲からのマイナスのイメージを生むこともある。
 オリックスの金子投手への6億円から1億円へのダウン提示が話題になったけれど、オリックスとしては、これまで高い年俸を払い続けてきたのに、こんな成績では、1億円でも温情提示だ、と思っているだろうし、そういう「これまでの感情の蓄積」がないチームであれば、金子投手ほどの実績があるピッチャーならば、いまでも1億円なら「お買い得」ではないか、と考えるはずだ。
 これまで、こんなに良くしてあげたのに、という、こちら側からの「恩義の押しつけ」は、届く相手もいれば、かえって反感を抱く相手もいる。いや、問題なのは、もうもらってしまったお金じゃなくて、これからのことだから、と言われれば、たしかにそれはそうなのだよね。
 こういうのは、友人関係や恋愛にもいえることで、これまでの経緯はさておき、いまがすべて、という「アドラー的」な人はけっこう多い。
 これまでの積み重ねがあればこそ、あれこれ恩着せがましく言われるのが重いというかめんどくさい、という場合もあるし。


嫌われる勇気

嫌われる勇気