じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

映画『藁の盾』を観ると、『ブラック・ジャック』の1シーンを思い出す。

 早番だったので、7時過ぎには病院へ。
 ああ、朝早いのはつらいなあ、と思ってはいたのだが、考えてみると、研修医時代は週に2日は7時前に来て採血をやっていたわけで、しかも、それもうまくできなくて患者さんに謝ってばかりだったのだから、早く来て、大概ボーッとしているだけなのはラクだよなあ。
 当直をしなくて良い、というのは、かなり精神的にも余裕が持てる。
 キレる議員をみていて思うのは、僕自身もああいうキレやすい素養みたいなものを持っているし、医者の世界にもキレる人は少なくないということだ。
 救急をやりながら、ずっと周りのスタッフを怒っている人とかいたし。
 でも、あらためて考えてみれば、そういうのって、精神的にギリギリなところまで追い詰められていることの裏返しなんだよね。
 ハワイでアロハシャツを着てビーチで遊びながらキレている人なんていない。
 そのキャパシティも人それぞれで、結局のところ、そこそこ能力があるからとか、本人の見栄とかで、自分のキャパをこえる仕事をやろうとしてしまうから、悲劇が起こるような気がする。
 もっとも、仕事関係なしに、しょっちゅうキレている人というのもいるのだけれど。

 今日は当直の先生が来るまでの遅番もあった。


 帰宅後、夕食を摂ってお風呂に入り、なんとなく『藁の盾』を観はじめてしまった。
 映画館で観たときも、キツい映画だなこれ、って思ったんだよなあ。
 あらためて観てみると、これはまさに「日本のクズ役の独占禁止法違反・藤原竜也の最高傑作」のような気がする。
 なんというか、これほど共感しようのないクズは、そうそういるものではなかろう。
 しかし、何度みても、白岩さんの無防備さは残念すぎる。
 あと、これを観るたびに、手術した犯罪者に死刑判決が出て、「それならなぜあのまま死なせてやらなかった!」と法廷でBJが叫ぶ、手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』の1シーンを思い出す。
 その犯罪者は、死刑になるときに「あの人(ブラック・ジャック)に、ありがとうと伝えてください」と言い残したんだよな、たしか。

 新しい仕事場で1ヵ月が過ぎた。頑張ってるぞ、自分。
 頑張るのは当たり前なのだが、当たり前のことをやりとげるって、すごいことなんだぞ。
 誰も褒めてくれないので、自分で褒めておくことにする。給料日までがんばれ。
 明日の土曜日は半日なので嬉しい。


 25時に就寝。


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