じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

映画『不能犯』のDVDを観て、なんとなく、『ブラック・ジャック』の「ふたりの黒い医者」を思い出した。

 昨夜から急に寒くなって驚いた。もう10月も中旬だから別におかしくもないはずなのだが、つい数日前までは、昼間はクーラーを入れてもいいかな、というくらいだったので。
 こうしているうちに、今年も終わっていくのだなあ、有馬記念まで、秋のG1も続いていくし。

 レンタルしていた『不能犯』(映画版)のDVDを観た。
 犯人(?)はなんというか反則攻撃で、こんな、人の心を操る、なんてことはできないだろう、と思うのだけれども、ツッコミを入れつつ観てしまう、そんな映画ではあった。
 なぜ人の心を操れるのか、というトリックというか仕組みについてはとくに説明がなされておらず、「そういう人なのだ」というスタンスなのは、ちょっと物足りない気がする。
 そう言い始めれば、『DEATH NOTE』のほうが荒唐無稽ではないか、とも言えるのだが、あれはディテールを徹底的にリアルにすることによって、「大きなウソ」が気にならなくなる作品なんだよなあ。
 松坂桃李さんのこういう「イカれた若者」のオンとオフの演技というのは、たいしたものだ。観ていて、映画『狐狼の血』を思い出した。ただ、映画全体としても役所広司さんと松坂さんの演技の迫力においても、『狐狼の血』のほうが、ずっと凄い映画ではある。
 そして、沢尻エリカさんの多田刑事、サイコパスな連中に愛されすぎだろ……どんどん酷い連中を呼び寄せているようにしか見えない。この人がいなくなれば、何も起こらないのではないか。これぞ「お騒がせ女優」の面目躍如、という役でもあるのか。
 やたらと登場人物が死にまくり、血がブシュブシュ飛び交うという、「ユーモアと緊張感のない園子温監督作品」のような映画だった。
 とはいえ、こういう映画って、「どういうふうにこの話をまとめるのだろう」と、ついつい最後まで観てしまうところはある。観終えて、なんとなく、『ブラック・ジャック』の「ふたりの黒い医者」を思い出した。今の世の中って、「希望」をひたすら信じている人というのは、心の底から絶望している人と同じくらい、「有害(あるいは迷惑)」なのかもしれない。
 

不能犯

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