じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

自分ではどうしようもないことで不快になったり苛立ったりして生きている。

『スポーツの日』。本来は2020年東京オリンピックの開幕日として祝日にされていたのだが、新型コロナウイルスでオリンピックは延期になり、移転された『体育の日』だけが残った。世間は4連休だそうだが、僕は明日は仕事で午後も当番なので、あまり嬉しくない。ただ、金曜日は早番・遅番が両方あるめんどくさい日なので、祝日になってくれるとありがたい。まあ、この状況だと、連休だとしてもなかなか遠出はしがたいだろうし、粛々と次の給料日まで粘るしかない。

夕方から野球を観ていたのだが、悪夢ふたたび、というか、みたび、というか、いつもの、というか……今日連勝できれば、カープも波に乗れるのではないかと希望を持っていたのだけれど、大瀬良の緊急降板に最終回の惨劇と、テレビ画面を叩き割ってやりたくなる。実際は、9回の裏の1点リードでノーアウト1塁2塁まで追い込まれた時点で、テレビを消してすべての情報をシャットアウトしておいたので、「悪夢の瞬間」をリアルタイムで観ることはなかったのだが。悪い予感はジャストミート、ポジティブな希望はフェードアウト、それが今の我らがカープ。最近、3時間以上も試合をした挙句に不快感しかもたらさないプロ野球って、もうオワコンではないか、と感じてきている。「新型コロナ以降」はなおさら。いつも同じムカつくだけの内容の一試合の時間があれば、本一冊、映画1本を体験できるのだから。
 ネットをみると、DeNAの逆転勝利に浮かれている人々がいて、さらに落ち込む。
 スポーツの結果とか、IPOの抽選結果とか、自分の力ではどうしようもないもの(そして、自分が実害を受けているわけでもないもの)に自分の機嫌を左右されてしまうのは、本当に愚かなことだ。そして、あらためて考えてみると、自分ではどうしようもないことで不快になったり苛立ったりして生きている人間が、なんと大勢いることか!いや、自分がやっていること、成し遂げていることだけで価値判断をしていくと、「自分は何もしていない」という現実を突きつけられるのがつらいから、みんな自分の機嫌をアウトソーシングしているだけなのか。
 不貞腐れながら台所に行くと、今日買ってきたばかりのアイスクリームを入れた冷凍庫が開けっぱなしになっていた。どうして、このタイミングで、そんなことをしてしまうのか……袋の上から、ドロドロになったアイスを確認し、とりあえず「なんでこうなるんだ……」とボヤキながら冷凍庫を閉めた。閉めてどうなるものではないけれど、とりあえず、溶けたアイスをすぐに捨てる気分にもなれず。
 気分がささくれ立っていたので、久しぶりに眠剤を飲んで寝たのだが、結局、眠るまでに村上春樹さんの新刊『一人称単数』を一冊読み終えてしまった。効いているのかこれ。まあ、村上さんの小説としては、ものすごく読みやすかったからなあ。『騎士団長殺し』だったら、30ページくらいで眠れていたかもしれない。


一人称単数 (文春e-book)

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