じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「タダで買える宝くじ」の悲しい現実

 明日から連休ということもあり、ふだんよりだいぶ早い給料日だった。ラッキーではあるのだが、次の給料日までかなり間隔が開くことになるのがつらい。注意してお金を使わないとすぐに飢える、なんてことはないのだけれども、最近は「もうすぐ給料日だな……それまで頑張ろう」というのが重要なモチベーションになっているので、次の目標が遠い。日本も下り坂、僕の人生も下山の時代か。
 
 1年くらい、新規公開株(IPO)のネットでの抽選に参加し続けているのだが、それなりの数の口座もつくってマメに手続きをしていても全然当たらない。いや、全然当たらないものだと聞いてはいたし、別に外れてもお金を失うわけではないので、気にせず淡々とやっていれば良いのだが、ネットとかで「当たりました!」みたいな報告を見てしまうとイライラするのだ。なんでこの人たちは当たっているのに、しかも、今日発表の銘柄はけっこう当選確率が高いと言われていたのに、僕は「選外」なんだ?と。本気でやるのなら、家族口座とかをつくったり、もっと大規模な資金を投入したり、リアル証券会社で担当者と付き合ったりしたほうが良いのは自明の理だし、そこまでの努力もしていないのに、もともと当選確率が低いものを「なんで当たらないんだ!」と怒るほうがバカではあるのだが。
ネットとかSNSというのは、「他人の幸福や幸運」が見えてしまうことによって、不幸というか妬み嫉みの種をばらまいているところがある。
しかも、ばらまいている側は、「ただ自分が嬉しいので表出している」だけなのだよなあ。
そもそも、IPO投資って、勧めている人たちは「タダで買える宝くじ」なんて言っているけれど、口座をたくさん作ったり、抽選の手続きをするための時間をとったりしなければならないし、証券会社の口座には、それなりの資金を置いておかなければならない。あらためて考えてみると、500万円をIPO抽選用に口座に置いて、運良く年間ひとつ、数十万円の利益を得られるIPOが当たったとしても、その間、500万円は塩漬けになっているわけだから、良くて年利は5%くらいのものだろう。それなら、投資信託なり高配当株なりに投資しても、同じくらいの利益になる可能性は高い。もちろん、マイナスになるリスクもそれなりにあるけれど、延々と「落選」「選外」を見続けるよりはマシな気もする。浅田次郎さんが「競馬で年間プラスになっている」という人がたまにいるけれど、馬券の収支だけではなく、競馬新聞代とか交通費などのコストや予想にかけている時間の価値も含めて考えるべきだ、と書いていたのを思い出す。
 本当に儲けているのは、IPO投資を他人に薦めてアフィリエイトで稼いでいる人たちだけなのかもしれない。
 アメリカのゴールドラッシュで大儲けしたのが、金を探しに来た人たちではなく、彼らにツルハシを売った人たちだったように。

 森博嗣先生ではないけれど、「普通の人」にとって、いちばん効率の良い投資は「勉強」と「仕事」なのだ。

 まあ、当たるかもしれない、というワクワク感を日常にもたらすため、ネット宝くじ気分で、これからも僕はIPOに参加するつもりではいるのだが、結局のところ、ラクに稼げる方法なんて無いんだよな。そもそも、僕の場合、お金がもっとあったら買いたいものとかやりたいことも今はない。ものすごく大きなテレビを買いたい、というくらいだけれど、買おうと思えば買えないことはない。ものすごく大きなテレビでも、車を買い替えるのに比べれば、4分の1とか5分の1くらいの値段だし。

 なんなんだろう、自分でわざわざ悩みをつくっているような、この袋小路感は。