じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

鮎川誠さんの訃報と「はかたんもんな おうどうもん」の謎

 
 月曜日、急患などもあり、けっこうあわただしかった。
 あまりイライラしないで過ごそう、と自分に言い聞かせているのだが、どうせやらなければならないことなのに、なんだか心がささくれ立ってしまう。年を重ねれば気持ちが穏やかになり、枯れていくと思っていたのに、実際はそうじゃなかった。
 むしろ、若い頃のほうが、「ここで頑張る、耐えることが将来のプラスになる」と自分を御しやすかったようにも思う。
 我慢したって、しなくなって、どうせいいことなんてないんだから、と考えるのなら、我慢するのは難しくなる。
 チームのために、送りバントをきっちり決められるのが「大人」なのだろうと思うが、いつまでも「自分」を大事にしなければならない、という時代は、幸福でも不幸でもある。

 「シーナ&ザ・ロケッツ」の鮎川誠さんがすい臓がんで逝去。享年74歳。
 僕にはミュージシャンとしての鮎川さんよりも、『はかたんもんラーメン』のCMの印象が強い。
 「はかたんもんな おうどうもん あおたけわって へこにかく ばってん らーめん」
 「おうどうもん」って? 「へこ」って?
 当時から九州に住んでいた僕にも意味不明だったのだが、鮎川さんが出演していると、それだけで「なんかこれ、すごく『気合いが入った言葉』のだろうな」という気はしていた。
 あらためて検索してみたら、「博多の人は強情で一度言ったら後にひかない。青竹を割って、それでふんどしをしめてみせるぐらいの心意気を持っている」というような意味なのだそうだ。それとラーメンの関係性は、やっぱりよくわからないのだけれど。
 鮎川さんのことをWikipediaで調べてみたら、福岡(久留米市)の名門・明善高校の出身で九州大学に入学している。なんのかんの言っても、音楽とか美術とかアートの人って、けっこう高学歴の人が多いのだよなあ。
 鮎川さんのいちばん上の娘さんが、亡くなられるまでの1ヵ月、娘3人で交代で看病したことと、最期まで回復を願っていたこと、そして、「お父さんは世界一かっこいいロッカーでした」とTwitterに綴っておられて、ああ、娘さんにこう言ってもらえて、鮎川さんは世界一幸せな父親だな、もうこれだけで、素晴らしい人生だったと思えるな、と羨ましくもなった。
 それにしても、最近、僕が子どもの頃からみてきた人の訃報が続いていて、寂しい限りだ。
 いつまで寂しがる側でいられるかな、とも思う。