じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

『プロ野球選手の妻たち』で、赤松真人選手の闘病に涙した。

 海の日。暑い。
 少し体調は良くなったので、出かけたりもしたのだが、本調子とはいかず、あまり良いこともない一日だった。
 自分を苛立たせる原因の大部分は、自分自身にあるのだけどなあ。

 夜、『プロ野球選手の妻たち』を観た。
 赤松真人選手の闘病が採り上げられていた。
 あのホームランボールをキャッチしたプレー、あらためて見てみると、フェンスって、あんなふうに登れるんだ、というのと、けっこう余裕を持ってキャッチしているような感じで、本当にすごい。
 あれは、バッターにとってはたまらないだろうな。

 これまで、がんの治療後に現役に復帰した選手はいないのか……
 子供が男の子2人というのはうちと同じで、それだけで感情移入してしまう。
 去年、カープが優勝したシーズンのなかで、大きな転機になったのは、交流戦での赤松選手のサヨナラタイムリーだった。
 ホームでのクロスプレーがビデオ判定になって、カープのサヨナラ勝ち。
 そこから、カープ交流戦で勝ちを積み重ね、リーグ優勝へ向かっていったのだ。
 新井さんがFAしたときに、代わりにカープにやってきた赤松選手。
 赤松がセンターを守っているときは、打球がセンターに飛んだら大船に乗った気分でいられた。
 阪神では、岡田監督に「野球脳が足りない」などと怒られていたそうだが、カープでは、若い選手たちに盗塁のコツを積極的に伝授するなど、頼られる存在だった。自らがレギュラーとして活躍したい、という思いも当然あったのだろうけれど、それ以上に、チームのために尽くしてきた選手なのだ。
 赤松選手は、守備・走塁の名手であり、とっておきのピンチランナーであるのと同時に、カープの頭脳でもあった。
 野球脳が足りないなんて、とんでもない。

 去年、赤松選手と新井さんがチームメイトとしてカープで優勝したときには、人間のめぐりあわせというのは、不思議なものだなあ、と思ったものだ。
 そして、赤松選手のがんが見つかったときには、神様というのがいるのだったら、なぜ、せっかくこんなにがんばってカープファンを幸せにした人を、こんな目に遭わせるのだろうか、と嘆かずにはいられなかった。


 あの胃透視の写真、ごく早期、ではないよなあ、実際のものだとしたら(番組中ではそう言っていたけれど)。
 まずは命が大事だし、赤松選手は、現役選手としてじゃなくても、指導者として野球を続けることは可能、というか、現役を引退したあとも、指導者としてずっとカープにいてほしい人だ。
 年齢も、34歳だから、野球選手としては、けっして若くはない。
 でも、この番組をみて、赤松選手にとっては、現役選手としてグラウンドに立つことこそが、闘病のモチベーションなのだということがわかった。
 
 本人も、関係者も、よくここまで詳しい取材に応じたなあ。
 プロ野球選手として、多くの人に支えられていることへの感謝と、みんなに伝えたいことがあるのだろう。
 こういう治療をやっている側とすると、正直、忍びないところもあるが、こうして多くの人に治療をしている人のつらさが知られるというのは、ありがたいとも思う。
 
 3軍で練習をはじめた赤松選手を待っていたファンをみて、僕も号泣。
 僕も「現役にこだわらなくても良いじゃないか」って思うのはやめることにするよ。
 僕は僕のやるべきことをがんばる。
 そして、マツダスタジアムで待っている。
 いや、マツダスタジアムが、センター・赤松を待っている。


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CS~カープ・ストーリー

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