じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

「ストレスや病気が良くならない不満を引っかけるための釘」

 フェブラリーS、本命はカフェファラオだったのだが、レッドルゼルが同じ3枠に入ったので、この枠から総流し。
 結果的には少し厚めに買っていた8枠のテイエムサウスダンが2着に来てくれたので、なんとか少しプラスになった。
 こういう買い方をしていると的中率は高いのだが、ちょっとずつ稼いだプラスが一度の外れで吹っ飛んでマイナスになる、の繰り返し。でも、やっぱり僕は馬券を当てて気分よく過ごす週末を過ごしたい。買わない、ということができれば、それがいちばん金銭的にも良いのだろうけど、四半世紀くらいG1レースを買い続けて、今の買い方になってしまったからなあ。
 しかし、ソダシの3着には驚いた。正直、勝つか惨敗、たぶん惨敗、だと思っていたので。
 終わってみれば、カフェファラオ圧勝。馬が東京マイル巧者というのはもちろんなのだが、福永祐一騎手の騎乗は完璧だった。揉まれない位置取りで先行し、前残りの馬場を読み切って危なげない勝利。結果的には、レッドルゼルのほうが一番人気になったので、レッドが同枠じゃないほうが、たぶん儲かった。まあでも、少しでもプラスになれば十分。これでエルデンリングを買える!……って、外れていても買うんだけど。ただ、フロムソフトウェアのゲームって、僕には難しすぎることが多い。

 最近はコロナ禍のおかげで鬱々としていて、日記もなかなか書けない。いや、こういう日々こそ、記録しておくべきだと思うのだが、あんまり個人情報的なことも書けないしなあ。ただ、コロナの嵐のなかにいると、ひたすら気分が沈むのだな、ということはわかった。まるで戦場みたいだ、と誰かが言っていたけれど、『硫黄島からの手紙』とかを観ていると、戦場だったら、砲撃の音で夜眠れなかったり、毎晩、明日死ぬかもしれない、っていう状況になるのだ。新型コロナは怖いけれど、僕は正直、自分のいまの年齢・体力・ワクチン接種済みという条件下では、感染してもそう簡単には死なないだろう、とも思っている。それでもこんなに不安だったり気鬱だったりするのだから、そりゃ戦場に言ったらPTSDにもなるよなあ。

 コロナ関係でいちばん憂鬱になるのは、それを本人・家族に伝えることと、その際に「誰のせいなのか」と責められることだ。無症状の感染者も大勢いる現在の状況では、どこからコロナが入ってきてもおかしくないし、誰のせいかなんて、調べようもない。それでも、「テレビでああ言っていた」とか、「近所の誰々さんはこうだった」みたいな話を聞かされ、「あなたたちのせいでしょ」と言われることだってある。中島らもさんが誰かの言葉を引用して、「男は(女にとって)愛を引っかけるための釘みたいなものだ」とエッセイに書いていたけれど、医療スタッフは、少なからず、「患者や家族の日常のストレスや病気が良くならない不満を引っかけるための釘」になってしまうことがある。残念だが、この釘には、心があるのだ。まあでも、そこで自分を抑制するために考えるのは「これも給料のうちだよな」ということで、結局僕も金目の人生なのだ。

 感謝なんてしてくれなくていいから、理不尽に責めたり、ケンカ腰で突っかかってきたりするのは勘弁してほしいというのは、贅沢な願いなのだろうか。まあ、感情労働って、こういうものだよね。人をいちばん苦しめるのは、人。


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