じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

あの新井さんが、広島カープの新監督に就任、だと!


 朝のネットニュースを見て驚いた。
 新井貴浩さん、あの新井さんが、広島カープの新監督に就任、だと!

 いやちょっと待ってくれ、緒方前監督と新井さんのどちらかの就任が濃厚だと報じられていたけれど、僕はまだ緒方さんが復帰するには前の記憶が生々しすぎる(野間選手との事件もあり、その野間選手は今年FAだ。これまでのカープのFAを見ると、なんとか残ってくれても、出ていっても、うーむ、というかんじではあるが)、コーチの経験もない新井さんは、選手に慕われ、ファンからの人気も絶大で、「いつかカープの監督に」が既定路線だとしても、いきなり監督では右も左も分からないうちに成績低迷で大バッシングされて退任、なんてことになるのではないかと不安だった。野村謙二郎さんの復帰か、オリックスのヘッドコーチをやっている水本さんが戻ってきてくれるか、などと夢想していたのだが、本当に新井さんに決まるとは。いや正直、新井さんが監督なら、多少カープが負けても、新井さんと一緒に逆境を乗り越えよう、と(少なくとも今は)思えるカリスマではあるのだ。
その一方で、新井さん、黒田さんは、カープにとって「最後の切り札」なのだ。
現在のベテランは衰え、若手は伸び悩んで停滞し、先行きも厳しそうなカープの監督をやってもらうのはレジェンドの名誉も、ファンの「まだ新井さんがいる」という心の拠り所も失ってしまうリスクが大きい。

松田オーナーには「もうこれ以上状況が悪くなったら、ファン離れも進むし観客が入らなくなる」という危機意識が強かったのかもしれない。まあ、RPGのエリクサーみたいなもので「いつか大事な場面で使うかもしれないから、と大切にとっておいたままゲームクリア」なんてことになるよりは、「新井監督」に思い切って賭けてみるのも良いかもしれない。
少なくとも、「もうプロ野球絶望した!」となるべく野球関連のニュースや試合結果を見ないようにしてきた僕でさえ、新井さんが監督なら、もう少しカープを応援してみるしかないな、という気分になっている。

新井さん自身の監督としての能力は未知数ではあるけれど、監督というのは、賢ければいい、勝負に徹することができればいい、というシンプルなものではないのだ、たぶん。

僕の母親が、常々「巨人ファンじゃないけれど、長嶋さんだけは違うのよねえ」と言っていたように、「本人の采配力とか指導力は評価しづらくても、周りが『この人のために頑張ろう、なんとかしてあげよう』とサポートせずにはいられない、というタイプのリーダー」というのが少数ながら存在するのだ。それはもう、まさに「カリスマ性」というか、生まれ持った才能みたいなものではあるけれど。

新井さんのカープを出て行ってから復帰、引退までの経緯を考えると、オーナーに「お前がやってくれ頼む」と言われたら断れなかったんだろうなあ、とか想像してしまうのだが、新井さんなら、「頼まれた時がそのタイミング」だと考えそうな気がする。「まだこれからもっと大きなチャンスがあるはず」とスルーしたのが「最後のチャンス」だったということは、人生で案外多いものだし。

新井さんならカープを強くしてくれる、と期待しているというよりは、新井さんが監督なら、カープが勝っても負けてもブツブツ言いながら付き合うよ、という感じ。もうこれは天命とか腐れ縁みたいなものだ。

まあしかし、旅行とプロ野球と競馬は、はじまる前日くらいがいちばん楽しい。それもまた、半世紀生きての実感ではある。


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