じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

福永祐一騎手と三浦知良選手の中間くらいの年齢の僕が、ふたりの「人生の選択」で考えたこと。


 福永祐一騎手の調教師試験合格、騎手引退を知った。
 福永騎手が難関の調教師試験を受けた、という話はさまざまな競馬関係者がネットに書いていたし、お父さんの「天才」福永洋一騎手が落馬で引退、重い後遺症が残ってしまったことや、祐一騎手自身もアクシデントで腎臓を片方摘出していることなどを考えると、自然な選択ではあるのだろう。競馬番組などで、自分が騎乗するレースでも、楽しそうに分析しているのも見てきたので、調教師として騎手とは違う形で競馬に関わってみたくなった、というのもありそうだ。

 個人的には、福永騎手といえば、ダービーのキングヘイローで逃げの戦法をとって惨敗したり、ビッグアーサースプリンターズSで内で包まれて何もできずに負けたりという、僕の馬券的な苦い思い出が先に頭に浮かんでしまう。しかしながら、近年は、ワグネリアンでダービーでは不利とされる外枠から勝ち、コントレイルで3冠、シャルリヤールでエフフォーリアとの接戦を制してのダービー制覇など、いつのまにか、上手い騎手になったよなあ、と感じていた。キングヘイローのダービーのときは、「まだ若手だし、荷が重かったか……」と思った僕も、あの頃はまだ若かった。思えば、福永祐一という騎手は、僕の競馬歴とほぼ同じ期間、騎手として活躍してきたのだ。
 騎手としては、今まさに円熟期であり、もったいない気もするけれど、これからの調教師としてのセカンドキャリアを考えれば、早めに転身したほうが良いのも間違いない。調教師も定年がある仕事だし。

 ほとんど同じタイミングで、キングカズこと三浦知良選手がポルトガルのクラブに移籍する、というニュースも見た。
 僕は三浦知良選手がずっと現役にこだわっているのをみると、なんだかもどかしく感じるのだ。途中出場がメインであったとしても、それなりに試合に出て、チームに貢献できている、というのなら年齢は関係あるまい。でも、今の三浦選手はチームにとっての「広告塔」でしかなく、「高齢でも現役のサッカー選手でいるためだけに現役を続けている」ように僕には思えてしまう。サッカーの指導者として、解説者として、あるいはタレントとしてでも、今の「1年間に何度か短時間試合に出るかどうかの現役サッカー選手」よりは、ずっとやりがいがありそうな気がするのだが。
 もちろんこれは本人の選択であり、まだ現役であることへのこだわりと、契約してくれるチームがあればこそ、なのだろうけど。

 僕自身は、とりあえず定年はない仕事をしている。とはいえ、年齢とともに、長時間の立ち仕事や救急、当直などはつらくなってしまった。若い頃のようにはいかない自分と、いかに折り合いをつけて生きていくか、というのはなかなか難しい。大きな怪我や病気で、明確に「これはムリだ」というのではなく、徐々に力量が落ちていくとなれば、なおさらのことだ。まだやれる、と思って同じようなことを続けているうちに、もう、転身するのは難しい年齢や体力になってしまう。

 僕は年齢的には三浦知良選手と福永祐一騎手のちょうど中間くらいなので、「踏ん切りがつかない」のも「新しいことをやるには、今がいちばん若い」という気持ちもわかる気がする。それにしても、時間が経つのは、本当に早いものだ。
 福永騎手、あと1週間このニュースが早ければ、チャンピオンズカップでクラウンプライド買ったかもしれないのに!と思ってしまう僕は、きっと後悔ばかりで寿命が尽きてしまうのだろうな。


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