じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

そして、「バレンタインデー」もいなくなった

 2月14日、バレンタインデー。
 若い頃はちょっとだけドキドキしていたし、少し前までは、なんかめんどくさい日だなあ、と思っていたけれど、最近、とくに新型コロナウイルス感染拡大以降は、バレンタインデーという行事そのものが職場から消えてしまった。20年くらい前は、2月14日にアルバイト先の病院へ行くと、各病棟でそれぞれチョコレートをくれて、バイトの医者にそこまでしなくていいのに、と辟易したものだ。前に勤めていた病院でも「バレンタインデーのチョコレートを準備するのは新人の仕事」になっていたらしく、病院というのはなんだかずっと「昭和」だなあ、と思っていた。貰ったら貰ったでお返しも考えなくてはならないし、義理だとわかっているものをあえてやりとりするのも茶番でしかない。だいたい僕はお菓子をほとんど食べない。ストイックな理由ではなく、どうせカロリーを摂るのなら、もっとお腹にたまるもののほうがいい、ただそれだけだ。
 ハロウィンの隆盛と入れ替わるようにして、バレンタインデーは終わりつつあるが、ハロウィンのほうがよりめんどくさそうなので、今の若者は大変そうだな、とも思う。「義理チョコ」はあっても、「義理コスプレ」とかは無いからいいのか。
 今でも、ジャニーズのタレントさんには、トラック何台分とかのチョコレートが届くのだろうか。
 あるいは、学校とかでは、若者たちの駆け引きが繰り広げられているのか。

 携帯電話、スマートフォンの普及で、「好き」を伝える手段も変わってきたよね、たぶん。残念ながら、僕はそういうふうに利用したことがないのであくまでも想像だけれど。
 お菓子業界の人は大変かもしれないけれど、とりあえず面倒な慣習が消えつつあるのは僕にとってはありがたい。いや、ありがたいと思うほど、貰うこともない人生ではあったが。

 2月もこれで半分。電気料金の請求書を見て驚いた。1月は寒かったので、確かにかなり暖房は使ったけれど、料金が前月の1.5倍くらいになっている。
 日本は物価は安く、給料も上がらない国だと言われてきた。最近になって、安売りも限界になってきて、物価は上昇傾向で、いくつかの大企業では、賃上げが発表されている。他国では「物価はどんどん上がっているが、それ以上に給料も上がっている」そうだ。
 しかし、この3年くらい給与据え置きで、年齢的にも現状維持で御の字、という感じの僕にとっては「給料は上がらず、物価だけが上がっていく」としか思えずつらい。いわゆる一流企業は価格も社員の給与も上げていけるのだろうが、それに取り残された人たちが割を食い、物価上昇の影響だけを受けて、さらに格差が広がっていくのだろう。アメリカは国全体としては経済成長しているが、学資ローンで破産したり、ウォルマートで働いていてもそれだけでは食べていけず、フードスタンプ低所得者のための食糧受給券)をもらって、それでウォルマートでジャンクフードを買って食べている人が大勢いたりする国だ。それが正しい成長だとは、僕には思えない。
 アメリカの若者たちも、そう思わなくなっているのに、日本は「アメリカ化」しようとしている。


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