じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

東日本大震災から10年目の3月11日

 東日本大震災から10年目の3月11日。
 あれからもう10年も経ったのか、というのと、だから今日、自分に何かできることがあるのか、というのと。
 10年、たった10年。たぶん現地では、まだ傷跡も記憶も色濃く残っているのだろうけれど、九州在住の僕は、当時からテレビの画面をみて、どうなることかと不安になっているだけだった。とりあえず、10年経っても、家に帰れない人が大勢いる一方で、明らかな放射能の影響というのは生じていないようにみえる。それは必然だったのか、誰かが僕の知らないところでギリギリの戦いをしていて、そのおかげで「大きな変化がないように感じられる」だけなのか。
 とはいえ、10年前に、2万人のもの人々の時が止まったことは間違いない。

 平日休みの日だったので、テレビの特番を観ながら、そういえば、10年目の3月11日だというのに、震災に関する長い特番はお昼のワイドショーばかりで、いわゆる「ゴールデンタイム」にはほとんど無いのだな、と思った。マスメディアが風化させている、というよりは、3月11日だからといって、視聴率が取れそうもない過去の災害について放送する自信も勇気もないのだろうな、と思う。僕だって、あれから10年か……と感傷的な気分になるだけで、この10年間、何かをやってきたかと言われたら後ろめたい気分になる。

 それでも、10年、生きてきたのだな、とは思う。次男は東日本大震災のときには生まれていなかった。長男も10年前はまだ2歳だから、記憶の片隅に残っているかどうか。
 自分が子どもの頃、太平洋戦争の話をする大人たちに、実感がわかないまま頷いていたけれど、もう、僕のほうが「語り手」になっている。世の中には、阪神淡路大震災も、オウム真理教事件も歴史年表で知った人が、もう、大勢いるのだ。

 そういえば、東日本大震災の後も、ずっと『SMAP×SMAP』で支援を表明していたSMAPも解散してしまったし、卓球の愛ちゃんの不倫報道には、ただ「諸行無常」と感じた。世の中も、自分の身の周りも、変わっていく。良いとか悪いとかではなく、そういうもの、なのだろう。

 なんだかせつない気分になりつつ、明日は早番の日なので、眠剤を飲んで早めに寝た。


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