じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

歯医者の診察台で「治療される側」として考えたこと


 仕事を終えて、ちょっと久しぶりに歯医者へ。月に1回のメンテナンスに通っているのだが、諸事情で先月末は延期してもらっていたのだ。
 しばらく通っていると、歯石取りや歯茎のチェックなどは、担当する歯科衛生士さんによって、辛さがだいぶ違うこともわかってきた。。
 痛いときの治療は、とにかくなんとかしてくれ、という感じでこちらも余裕がないのだが、メンテナンスだと少しは冷静に診察台の上に乗っていられるので。
 今日担当してくれた人は、けっしてスピードは速くないのだが、丁寧な仕事ぶりで、痛みや振動も最低限に抑えてくれていて、こちらの様子をみながら吸引もこまめにやってくれてありがたかった。いつもこの人がやってくれたら良いのに、と思う。以前担当された衛生士さんは、とにかく仕事を早く済ませたい、という感じで、まったく休憩なしで歯石を取り続け、機械の出力が高くて振動で気分が悪くなり、のどに水が溜まって苦しくなったので、我慢しきれなくなって手を上げたら、「水が苦手なんですね!」と言われて僕も軽くキレた。職業柄、かえって他所を受診するときには目立たず、アピールせず、我慢強い一患者であることを自分に言い聞かせているのだが、無理矢理洗面器の水に顔を押しつけ続けるようなことをしながら、「水が苦手なんですね」とは何なんだ。苦手なのは水じゃなくてお前の患者の苦痛を無視して強引に自分の仕事を終わらせてしまおうというやり方だ。なるべく穏便に抗議したつもりなのだが、その後、そこでは頻回に吸引をしてくれるようになったので、なんらかの申し送りが行われたものと思われる。あー、またやっちまった、というか、世間はインターネットの中ほど「理不尽な扱いに抗議する人」に寛容ではないから。

 この年齢になって思うのは、「技量が高い人」というのは、難しいことを高確率でうまくできる人だと勘違いしがちだが、医療においてはとくに「相手の状態をきちんと見ながら、臨機応変に対応し、なるべく苦痛を与えない、あるいは不安を軽減すること」が重要であり、「自分にはできない、あるいは危ない、と感じたら、ムキにならずに中止したり、できる人にやってもらったりできること」だと思う。
 自分にはこれができる!とアピールすることばかり考えて、患者を見ていないのでは本末転倒だ。

 まあ、こういうのは医療に限ったことではないよなあ。人間関係でもそうだ。そして、僕は本当にこういう大事なことに気づくのが遅い。もちろん、世の中には「手荒にやってもいいから、さっさと済ませてくれ」という人もいるのだろうが。僕だって床屋ではそうだ。

 本を一冊買って帰り、久しぶりに『Fit Boxing2』をやった。「お久しぶりです!体調はだいじょうぶですか?」とカレンさんが心配してくれ「今日はムリしないようにしましょうね」とも。人間よりプログラムのほうが優しい。
 日付を確認したら、前回から間隔が1か月以上開いていた。なんとか「軽め」でデイリーのメニューをひととおり。
 最近寝つきが悪かったのだが、今日はいつもの量の眠剤でスムースに眠れた。