じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

オーダーストップ前の逡巡と映画『THE FIRST SLAM DUNK』


 午後から外来当番だった。診断に悩むような患者さんは、大概、受付終了時間ギリギリにやってくる。
 ああ、なんでこんな時間に……もっと早く来てくれればよかったのに……そう思うときほど、慎重にならなければ患者さんにとっても自分自身にとっても危険だ。結局、終業予定時間には終わらなくなる。もっとも、仕事の負荷を減らす前までは、終業時間になってから、ようやく自分の仕事ができるようになる、という感じではあったのだが。医者の世界でも、残業は問題視されるようになってきていて、それは正しいことなのだろうけれど、その一方で、僕はハードワークを自らに課している研修医が短い期間に驚くほど実力をつけていくのを見てきたので、「そんなに頑張らなくてもいい」とは言わないし、言えない。頑張れる人は頑張ったほうがいいし、医療という仕事の範疇で言えば、「ヤブ医者」という目で見られながら、なんとか給料日まで耐え忍んで働くよりは、自分の技量や知識に自信を持て、周りからも信頼されるようになったほうがやりがいもある。この仕事も、ふとした隙に対応や診断を誤ったら、人生アウトになるからなあ。それは、車の運転でもそうなのだけれど。
 仕事をはじめてから、飲食店でもオーダーストップギリギリの時間だと、まだ間に合いそうでも、「働いている人たちが、あーあ、って思うのではないか」と想像してしまって、入るのを躊躇うようになった。他者のことを想像しすぎると、人生は面倒だ。

 仕事を終えて、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観にいった。もともと、『SLAM DUNK』にはあまり思い入れがなく、この映画にも「配信されたら観てみるかな」という程度の熱量だったのだが、ネットで批判されたり、称賛されたりしているのをみると、観たくなってしまうのがブロガー気質というものなのか。
 ここには結論だけしか書かないが、すごく良かった。見惚れてしまった。
 ただ、原作への思い入れが乏しかったことが、この映画の観客としてはプラスに働いたような気もする。
 原作は1990年から96年まで連載されていた、というのをWikipediaで確認して、時間が経つのは早いな、と、あらためて思った。

 ところでこれ、僕が知る限り、(近年では)坂本真綾さんを最も贅沢に起用した映画ではなかろうか。

 最近眠剤を飲んでも寝つきがいまひとつで(映画を観たこともあるのだろう)、26時くらいに就寝。
 年末のIPOラッシュだが、今日も「補欠当選」すら、ひとつもなし。