メッシとエムバペとPKの2022年ワールドカップ決勝 - じっぽ当直日誌・スーパーマイルド＠はてな

　今日は所用があって、『M-1グランプリ2022はリアルタイムで見ることができなかった。『鎌倉殿の十三人』も。
　結局、両番組とも、ネットで結果と結末を知ってしまった。それはそれとして、録画したものを観ればいいのだが、知ってしまうと、もういいかな、という感じ。賢者タイムか。
　
　結構忙しくて疲れていたこともあり、男子サッカー・ワールドカップ決勝の前に眠剤を飲んで、眠くなったらそれまで、のつもりで24時からテレビ観戦。
　個人的には、35歳で、おそらく最後のワールドカップ出場になるであろうアルゼンチン代表のメッシに、「伝説」を完結させてほしい、と思っていたし、アルゼンチンがPKと流れるようなゴール前でのパス回しで2点をリードし、後半も残り15分くらいになったときには、「これはもう、メッシ伝説完成だな、だいぶ薬も効いてきたし、眠ってしまおうか」と横になり、目を瞑って音声だけ聴いていた。フランスは選手のコンディションが悪いのか、アルゼンチンの術中にはまってしまったのか、チャンスらしいチャンスも作れずに、残り10分。まあ、決勝って、凡戦になりがちだし。

　ところが。

　80分にフランスがPKで1点を返すと、ガラッとムードが変わった。
　まだ1点あるし、残り時間も少ない。ワンサイドゲームよりは、メッシ伝説のクライマックスも、「良い試合」の方が良かろう、と僕が思った瞬間に、エムバペが豪快なボレーシュートを決めて、試合は2対2の同点に。
　うわー、同点、明日仕事なのに眠れなくなった！というか、目がすっかり覚めてしまった。
　メッシ伝説は、悲劇で幕を下ろしてしまうのか。

　試合は延長に入り、アルゼンチンの選手たちの方が、少し疲労が目立っていた。メッシはもう35歳で、エムバペは23歳。こういう展開は、追いついたほうに勢いがある。
　ところが、延長で勝ち越したのは、アルゼンチンだった。決めたのはメッシ。まさに伝説完成！
　……しなかった。

　アルゼンチンの選手のペナルティエリア内でのハンドで、フランスがPKを得て、これをエムバペがまた決めてハットトリック達成！
　とにかくすごい試合だ。これはもう寝ている場合じゃない。

　3対3のまま延長戦が終了し、優勝の行方はPK戦に委ねられた。
　エムバペ、メッシがそれぞれ最初のキッカーで、ともに成功。イタリア代表のバッジオがPKを外したのを思い出していたのだが、この2人は凄すぎる。
　フランスの2人目の選手を画面越しにみていて、なんだか外しそうな予感がした。というか、この場面であっさり決められそうにみえる選手がいるのなら、そのほうが規格外なのかもしれないが。
　結局、フランスは4人中2人が成功、アルゼンチンは4人全員が成功で、優勝はアルゼンチンに。
　メッシの伝説を見届けた、やっぱりメッシはすごい、ここで優勝するのも「持っている」としか言いようがない。

　ただ、僕がこの試合を観た率直な感想は、「あの状況から追いつき、延長戦でも、もう一度追いついたフランスは強いというか恐ろしいチームだった」というものだった。90分で、2対0のアルゼンチン勝利で終わるはずの試合だったのに。

　NHKの解説をしていた人が「PKのキッカーは、試合にフル出場していた選手よりも、途中出場でフレッシュな状態の選手を選んだほうが成功率が高いのではないか」という話をしていた。フル出場していると、疲労でキックの精度や集中力が落ちるのかもしれない、と。
　もちろん、個々の選手の得手不得手やコンディションはあるはずだ。とはいえ、ずっとこの試合に参加して頑張っていた選手に蹴らせてあげたい、と僕なら考えてしまいそうだ。基本的に、より良い選手をレギュラーで起用しているだろうし。
　だが、そういう「情」を排すれば、「プレイ時間が短い、疲れていない選手のほうが、成功率が高い」というのは合理的なんだよなあ。
　それでも、このPKの最初のキッカーは、エムバペとメッシに任せるしかない、というのはみんなが納得したはずだ。

　メッシが、大会MVPに選ばれ、ワールドカップのトロフィーに、待ちきれないとばかりにキスをした。
　まさに大団円。
　エムバペにマクロン大統領が声をかけていた。「放っておいてくれ！」と言いたいときに、慰めてくれたのが大統領だったら、どんな気分になるのだろうか。
　
　ああ、いつのまにか始まっていたな、ワールドカップ。
　そんな感じだったのが、こんなに感傷的になってしまうとは。
　残りの人生で、あと何回ワールドカップを見ることができるかはわからないけれど、この決勝戦を見届けることができて、人生、得した気分になった。
　おめでとう、メッシ。すごかった、エムバペ、そしてフランス代表チーム。