じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

アニメ映画になった『かがみの孤城』を観てきた。


 月曜日になると、レベッカの『MOON』を思い出す。
 最近は週の半ばに休みがあるので(代わりに土曜日は仕事だが)、それほど嫌でもないけれど。
 株とかをやっていると、「土日休場のあと、今日はどうなるかな」という楽しみなところもある。
 まあ、しばらくは株価は停滞しそうだが。というか、日経平均が上がる理由が思い浮かばない。

 仕事を終えて、映画『かがみの孤城』を観に行った。
 『すずめの戸締まり』『THE FIRST SLAM DUNK』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と人気作をひととおり観てしまったので、消去法的な選択で。原作は良かったし、映画もネットでの評判は良かったので。

 原作で僕が感心した、学校に行けない子どもたちの内面のドロドロした部分や、負の集団のなかでも、お互いに「あいつよりはマシ」と競争してしまうところなどは、映画ではかなり解毒されていたけれど、「わざわざ映画館まで来て、2時間座った価値はある作品」だったと思う。というか、映画としてのエンタテインメント性やリズムを保つために、原作の長所であった内面の描写に時間を割かない、というのは、正解だったのではなかろうか。良い映画だった。だからこそ、原作をもう一回読み返してみようかな、そんな感じ。
 「原作に忠実である」ことよりも、核となる部分は残しながらも、「1本の映画として、2時間で観客に伝わる、観客を楽しませる」ために、きちんと取捨選択されていた。それにしても、子どもの視点からみた、大人というものの情けなさには悲しくなる。

 まあでも、僕がもう学校に行かなくてもいい年齢になったからこそ、いろんなものが美化されたり、客観視できたりしているのも事実で、この映画を自分が中学生のときに見せられたら、「世の中そんなに簡単じゃないんだよ、こんな孤城なんてありえないし」と反発していたような気がする。
 辻村深月さんは、ずっと抑え込んできた感情を、クライマックスで一気に解放するのが上手いよなあ。アントニオ猪木の午後8時45分の延髄斬りみたいだ、と、知らない人には伝わらないたとえを思いついて満足しながら帰宅した。


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