じっぽ当直日誌・スーパーマイルド@はてな

『さるさる日記』から続く、中年内科医の日常日記。これまでの分はこちら。http://touchoku.jugem.jp

2020年安田記念での、アーモンドアイの単勝売れすぎ問題

 アーモンドアイが安田記念に参戦。
 ヴィクトリアマイルでは単勝でお世話になったので、今回もアーモンドアイとインディチャンプの2頭の単勝を買えば、まあどっちかは勝つだろう、という戦略を立てていた。
 G1馬が10頭も出走しており、それでも少しはプラスになる、と思っていたんだけどなあ。
 
 日本競馬史上初の芝G1、8勝目がかかっており、ついにシンボリルドルフ以来の「禁断の記録」が破られる、という期待もあってか、アーモンドアイの単勝は、前日の時点で1.3から1.4倍で推移していた。
 強いのはわかるけど、これは人気になりすぎだろ……
 これでは、インディチャンプの単勝まで買ったら当たってもマイナス、外れたら地獄、という結果になりかねない。
 とはいえ、2頭の馬連やワイドに大金を投下する自信もないのだ。先週のダービーに比べると、人気2頭以外の馬も強そうなので。
 馬連枠連でもアーモンドアイからの馬券が売れすぎていて、当たってマイナス、ということにまたなりそうだし……

 パドックのアーモンドアイは、無観客の気安さもあってか、これまでのなかで一番良く見えるくらいだった。ダノンプレミアムもけっこう落ち着いていた。
 そういえば、1年前の安田記念は、この2頭の対決が注目されていたんだよなあ。僕はその時期すごく気分が落ち込んでいて、パドックでダノンプレミアムが暴れているのをみて、半ば自棄ぎみに前残り馬連ボックスを買ったらそれが的中し、そこからまた少し運が戻ってきたのだ。
 だからこそ、あのレースで、スタート直後にものすごい不利を受けながらゴール前、すごい脚で追い込んできたアーモンドアイの強さは印象に残っている。最初は「アエロリットが2着に残っただろ、写真判定とか要らんよこれ」と自信があったのだが、スローでみると、ギリギリのところまでアーモンドアイが来ていて肝が冷えた。
 あれで追い込んでくるのだから、精神的にも強い馬なのだろう。
 それ以来、アーモンドアイを買い続けている(たぶん、多くの人も、ずっと買い続けていると思うけど)。

 1.3倍ならアーモンドアイ単勝で勝負するつもりだったのに、スタート時間が迫ったところで、単勝が1.2倍になった。
 うーん、1.2倍……アーモンドアイが勝つ可能性は高いと思うけど、これはさすがに安すぎるのでは……というか、複勝が1.1倍か……1着にならないといけない馬券が1.2倍で、3着までに入れば1.1倍なら、複勝のほうが安全なんじゃないかな……
 先週はけっこう勝っていたので、今週は「大負けしないで気分よく宝塚記念まで過ごしたい」というのもあって、単勝に賭けるつもりだった金額を、複勝にぶち込んだ。
 われながら、弱気だなあ、と苦笑しつつ。

 レースは、アーモンドアイがスタートで出遅れ、後方からの競馬となった。それでもなんとかリカバーできるかと思いきや、どうも手ごたえがあまりよくなく、直線でも外を回る形となりながら追い込んできたものの、インディチャンプを交わし、ノームコアが迫ってくるのをしのいで2着確保が精いっぱいだった。むしろ、よく2着にまで来た。
 圧勝したのは、グランアレグリア。スムースなレースだったとはいえ、こんなに強くなっていたのか。元騎手の安藤勝己さんが、アーモンドアイの敗因を問われ、「出遅れやレース間隔が短いこともあったけれど、買った馬が走りすぎ」と言っていたけれど、本当にそんな感じ。
 ヴィクトリアマイルのときは「アーモンドアイやっぱり最強!」「調教代わりでG1圧勝!」とネットで称賛されていたのが、安田記念で負けたとたんに「虚弱体質!」「これで最強牝馬なんて片腹痛い」と叩かれていて、世間の風向きというものを思わずにはいられない。
 もっとも、僕にとっては「2着でもよかった」から、冷静にみられただけで、当初の予定どおり単勝で勝負していたら、「あれだけ吹いておいて、グランアレグリアに惨敗かよ」くらいの嫌味を吐き、ふて寝していた可能性は高いのだが。
 結果的に、一過性でも単勝1.2倍を見たことが(最終的には1.3倍だった)、奏功したともいえる。1.3倍を確信できていたら、単勝で勝負していたわけだから。
 
 いやしかし、競馬は本当にわからないよなあ。
 そして、いくら強いとはいえ、単勝1.2倍とか1.3倍に大金を賭けるというのは、リスクが高すぎる、ということなのだろう。もちろん、複勝1.1倍も賢い人間がやることじゃなくて、この安田記念に対するギャンブルとしての「より正解に近い態度」は、「アーモンドアイを外した馬券を少額だけ買って大荒れを期待する」か「賭けないで歴史的瞬間を見守る」ことだったと思う。
 まあとりあえず、僕にとっては、馬券的には偶然と幸運が重なって、なんとか唯一の生存ルートにたどり着いたレースだった。
 安田記念とは、相性が良いのかもしれない。
 アーモンドアイの新記録、観たかったけれど、王貞治さんのシーズン55本のホームランのように「見えざる力(あるいは忖度)」みたいなものが働いているのだろうか。


覚悟の競馬論 (講談社現代新書)

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